被災地:東京 (祖父の体験より)
いきなり、「ゴゴゴ…」という地鳴りが聞こえてきたかと思うと、家がグラグラと揺れ始めた。
次は、いきなり「ドン!」 と突き上げるような大きな“縦揺れ”タンスの上に置いてあった物が落ち始め、照明器具の電球が不規則に暴れ始めた
逃げようとしたが、よろめきながら立っているのが、やっとの状態。
尻餅をついた所にタンスが倒れてきたので、間一髪、横に転がってそれを避けた。
「ドカン!」「ガラガラ」という音と悲鳴や怒号が近所中から聞こえてきた。
家の壁は崩れ、柱もバキバキ折れだし、みるみる部屋が潰れ始めた。そのうち、造りの弱い家から潰れ始め、次々と悲鳴が聞こえた。
外に逃げようとしたが、床に両手両足を大きく広げて、体を支えるのが精一杯でなんともならず。 床に踏ん張ったまま、されるがまま大きく揺れている状態が続く。
這ったまま外に逃げ出すこともできなかった。
少しずつ、大きな揺れが収まり、潰れそうな家から外に飛び出した。
すると、あたりの殆どの家が倒壊し、あるいは崩れかけている有様だった。
あちこちから、家族を呼ぶ声や、助けを呼ぶ悲鳴にも似た声が聞こた。
崩れた家の瓦礫の中に、下敷きになっている近所の人たちが見えた。
慌てて助けようと近づいた瞬間、また余震で大きく地面が揺れだした。
「バキバキ! ガラガラ! 」という音と共に、傾いていた家が一気に倒壊した。
すさまじい悲鳴が聞こえ「はっ!」とすると、さっきまで下敷きになっていた
近所の人が目を大きく見開いたまま、動かなくなっていた。
言葉が出ず茫然としていると「火が出た!逃げろ~!」の声が聞こえた。
何かが焼ける匂いと共に、あちこちから煙が上がっているのが見えた。
ちょうど昼時で火を使っていた家庭が多かった。強い風がさらにその炎をあおった。
「家族は無事だろうか?」 「まずは、自分が避難しなくては!」
「そうだ、あそこに学校があったはず…」
家が崩れ、何も持たずに歩いている人々と、同じ方向に歩き出した。
途中、燃える火の中の瓦礫の下で、泣き叫んで助けを呼ぶ人達を
何度も見ましたが、とても近づく事もできなかった。
火は風を起こすので余計に燃え広がり、どんどん炎と風を大きくしていく。
その時はただ、歩き続けるしか無かった。
生きながら焼かれていく人たちに、目をそむけ耳をふさぎながら…。